花街と文学
京舞に代表される華やかな文化が開いた花街は、歴史上、数多くの文学者が愛した地でもあります。彼らは花街の洒脱な土地柄だけでなく、そこに生きる人々にも魅力を覚えました。
祇園白川の一隅に佇む「かにかくに碑」。これは、大正期に活躍した歌人・吉井勇の「かにかくに祇園はこひし寝るときも枕の下を水のながるる」という歌を記したもので、祇園を深く愛した吉井勇にちなんで建てられました。この地にあったお茶屋の芸妓・磯田多佳女( たかじょ) は、「文芸芸妓」とも呼ばれ、夏目漱石、谷崎潤一郎、浅井忠など、そうそうたる文人と交流があったと言われています。歌や絵をよくし、芸事に通じた祇園の人々は、文人の心を捉えて離さない存在だったのでしょう。
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